歎異抄 序分 耳の底に留めていること

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歎異抄の原文

①ひそかに愚案を回らして、ほぼ古今を勘ふるに、先師(親鸞)の口伝の真信に異なることを歎き、後学相続の疑惑あることを思ふに、

②幸ひに有縁の知識によらずは、いかでか易行の一門に入ることを得んや。まつたく自見の覚語をもつて、他力の宗旨を乱ることなかれ。

③よつて、故親鸞聖人の御物語の趣、耳の底に留むるところ、いささかこれを注す。ひとへに同心行者の不審を散ぜんがためなりと[云々]。

語句説明

他力・・・自力に対する言葉。 阿弥陀仏の本願のはたらきをいう。仏力。 親鸞聖人の著書『教行信証』「行巻」 には他力について 「他力といふは如来の本願力なり」 とある。浄土真宗の要は、他力の救済に身を任せ、苦しみ悩む私たちの功徳の効果を認めず、はからいなく本願力にまかせることを本義とする。

宗旨・・・宗(しゅう・むね)ともいう。 かなめという意味で、 お経に説かれた教えの最も肝要なことがらのこと。 宗致ともいう。

歎異抄の現代語訳

①わたしなりにつたない思いをめぐらして、親鸞聖人がおいでになったころと今とをくらべてみますと、このごろは、聖人から直接お聞きした真実の信心とは異なることが説かれていて、歎かわしいことです。これでは、後のものが教えを受け継いでいくにあたり、さまざまな疑いや迷いがおきるのではないかと思われます。

②幸いにも縁あって、まことの教えを示してくださる方に出会うことがなかったなら、どうしてこの易行の道に入ることができるでしょうか。決して、自分勝手な考えにとらわれて、本願他力の教えのかなめを思い誤ることがあってはなりません。

③そこで、今は亡き親鸞聖人がお聞かせくださったお言葉のうち、耳の底に残って忘れられないものを、少しばかり書き記すことにします。これはただ、同じ念仏の道を歩まれる人々の疑問を取り除きたいからです。

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